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ー土木工事の施工契約を失敗しないための実務ガイド:条項・変更・リスク分担までー


施工契約の基本をおさえる

土木工事の施工契約は、見積もりで決めた条件を法的に固定し、品質・安全・コスト・工期のバランスを取るための設計図です。難しい専門用語が多い印象ですが、要点を押さえれば現場判断も早くなり、追加やトラブルを最小化できます。まずは契約の骨格を理解し、現場で迷わない土台を作りましょう。

契約形態(請負、一式、単価、出来高)の違い

契約形態(請負、一式、単価、出来高)では、リスクの持ち方が変わります。一式請負は成果物で評価され、単価契約は実測で精算、出来高は工程進捗に応じた支払いとなります。設計・条件の不確実性が高い場合は、単価やスライド条項を組み合わせて柔軟性を確保します。

契約当事者と責任範囲の明確化

契約当事者と責任範囲は、発注者・元請・下請で明確化します。占用許可や各種申請の主体、検査や立会いの責任、第三者被害への賠償、近隣対応の窓口などを条項化し、連絡系統と承認フローを図示しておくと現場が動きやすくなります。

契約書に必須の条項

施工契約書の条項は多岐にわたりますが、現場で効くのは“揉めやすい項目を先に言葉で止める”ことです。目的物の定義、図書の優先順位、工期と天候遅延、価格と支払い、検査と引渡しまで、要所の文言を具体化すると解釈の幅が狭まり、判断が速くなります。

目的物・仕様・図書の優先順位

目的物・仕様・図書の優先順位は、図面・特記仕様書・標準図・質疑回答のどれを優先するかを明記します。矛盾が出た際の改定手順や、出来形の基準値、許容差もあらかじめ合意しておくと、手戻りややり直しの判断がぶれません。

工期・工程・天候遅延の扱い

工期・工程・天候遅延の扱いでは、暦日か稼働日か、夜間・休日作業の可否、荒天の定義、不可抗力時の延長手続き、資材遅延のリスク分担を定義します。クリティカルパスの共有、工程会議の頻度、リカバリ計画の提出期限も条項化しておきます。

価格・支払・前払金・出来高

価格・支払・前払金・出来高では、出来高査定の方法、出来形写真や計量票などの証憑、部分払の締日と支払サイト、材料仮置きの評価、前払金・出来高払いの保証、検収時の留保金の扱いを整理します。価格のスライドや燃料・資材高騰への調整条項も実務的です。

変更・追加・設計差異の処理

現場で頻出するのが、設計差異や想定外条件による“変更・追加”です。定義と手続きを曖昧にしたまま着手すると、後の金銭協議が難航します。変更の線引き、単価の決め方、実測精算の様式を、契約前に合意しておくことが安全です。

設計変更と仕様変更の線引き

設計変更と仕様変更の線引きでは、構造・寸法・性能に関わるものを設計変更、材質・仕上げ・数量の見直しを仕様変更とし、いずれも書面合意を要件とします。緊急時の口頭指示は、指示者・日時・場所・目的を記録し、速やかに書面化します。

単価合意と実測精算のルール

単価合意と実測精算のルールでは、契約単価の準用順位、合意単価の作り方(歩掛・見積内訳・相場資料)、写真・出来形・計測の証憑、第三者立会いの要否を定めます。早期に“合意単価表”を作り、変更伝票と連番で管理すると後工程が楽になります。

リスク分担と保険・保証

リスク分担は、事故・瑕疵・第三者被害・地中障害・物価変動といった“起きたら大きい”テーマに効きます。保険と保証を適切に組み合わせることで、最悪時でも工事が止まらない体制を用意できます。

第三者被害・瑕疵担保の考え方

第三者被害・瑕疵担保の考え方では、施工中の近隣損害や占用物破損への賠償、引渡し後の瑕疵責任の期間・範囲・免責を明文化します。地盤沈下や排水不良など、潜在的な不具合の再発防止策と、追加工事の手順も決めておくと安心です。

保険(賠償・建設工事・労災上乗せ)の設計

保険(賠償・建設工事・労災上乗せ)は、契約で必須化すると確実です。対人対物賠償、建設工事保険、労災保険に加え、請負業者賠償責任保険や生産物・完成品の賠償も検討します。保険者・保険金額・免責金額・特約を一覧化し、証券控えを提出してもらいます。

許認可・占用と契約の関係

許認可・占用の要否は、契約の費用と工程に直結します。誰が申請主体か、費用は誰が負担するか、占用期間や原状復旧の水準はどうするかを曖昧にすると、工程遅延や追加費用の火種になります。

申請主体と費用負担の明記

申請主体と費用負担の明記では、道路占用・道路使用・河川占用・開発許可・農地転用・騒音振動の特例届など、必要な手続の“提出者”を特定します。審査期間・手数料・必要図書を契約附属書で一覧化し、工程と連動させます。

占用期間・原状復旧と検査

占用期間・原状復旧と検査では、占用延長や夜間作業の条件、仮復旧と本復旧の仕様、検査の立会者、補修の保証期間を決めます。復旧材の手配や発注者支給材の範囲も、争点になりやすいため具体化しておきます。

品質・検査・出来形・引渡し

品質と検査の運用は、後戻りコストを減らす最短ルートです。出来形・写真・試験成績の“証拠力”を高めると、出来高査定や引渡しがスムーズになり、クレームも減ります。

検査方法・適合判定・やり直し

検査方法・適合判定・やり直しでは、出来形基準、材料受入検査、中間・完成検査の手順、適合しない場合の是正期限と方法を明文化します。自主検査の帳票やチェックリストを標準化し、第三者確認を交えると再発防止に効きます。

出来形・写真・試験成績書の整備

出来形・写真・試験成績書では、測量成果の座標系と基準点、写真の必須カット、材料試験の頻度や合否基準、電子納品のフォルダ構造を定めます。出来高査定と連動する台帳形式にして、証憑の欠落を防ぎます。

下請・協力会社管理

下請・協力会社の管理は、品質と安全の“再現性”に直結します。法令遵守と同等品質の原則を契約で担保し、体制の見える化と教育で現場力を底上げしましょう。

施工体制台帳と再下請通知

施工体制台帳と再下請通知では、元請・一次・二次の構成、配置技術者、建設機械、資格者の一覧を整備します。再下請は事前承諾制とし、仕様と安全計画の共有を義務づけると、変更時のコミュニケーションが速くなります。

安全・教育・同等品質の確保

安全・教育・同等品質の確保では、KY・TBMの頻度、特別教育や技能講習の確認、保護具の標準、持込資材の検査基準を統一します。違反時の是正命令・是正期限・違約金のルールがあると、抑止力が働きます。

紛争予防とコミュニケーション

紛争の多くは“記録が薄いこと”から生まれます。合意の履歴を残す仕組みを準備し、価格や物価の変動にも耐える条項をセットすれば、交渉は落ち着きを取り戻します。

議事録・往復書簡・協議の型

議事録・往復書簡・協議の型では、定例会議の議事録テンプレ、質疑応答の番号管理、追加・変更の申出書式、回答期限のルールを決めます。メールだけでなく、クラウドで時系列に残せる仕組みが理想です。

価格転嫁・物価変動条項の活用

価格転嫁・物価変動条項の活用では、燃料・資材の高騰時に単価を調整できる仕組みを契約に入れます。指標や再計算式、適用開始日、上限下限、協議のトリガーを明文化し、双方にとって予見可能性を高めます。

まとめとチェックリスト

まとめとして、施工契約は“現場を止めない仕組み”を言葉で作る作業です。条項の粒度を適切にし、変更と出来高の手続きを先に合意し、証拠力のある記録と保険でリスクを抑えれば、品質・工期・コストは安定します。最後に、現場で役立つ要点をチェックリストで再掲します。
・契約形態と責任範囲を明確化し、工程・支払い・検査の基準を定義する
・設計差異や想定外条件への“変更・追加”手続きを先に合意する
・出来高査定の証憑(写真・計量票・座標)と単価表を連動管理する
・保険・保証と第三者被害の賠償枠を具体化する
・占用・許認可の申請主体、費用負担、原状復旧の仕様を契約附属書に一覧化する
・議事録・質疑・変更伝票をクラウドで一元管理し、時系列で追える形にする

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