和泉建設株式会社

ー土木工事の資材リサイクル入門|コストと環境を両立する進め方ー

土木工事で資材リサイクルが重要になる理由

土木工事では、掘削土やコンクリートがら、アスファルトがら、伐採木、金属くずなど多様な資材が発生します。これらをそのまま廃棄すると、処分費や運搬費が膨らむうえ、最終処分場の負担も増えます。一方で、分別して再資源化できれば、処分量を減らしながら資材の調達量も抑えられ、工事全体の効率が上がります。最近は環境配慮の観点からも、資材リサイクルへの取り組みが評価されやすく、発注者側の条件として求められる場面も増えています。ただし、リサイクルは「集めて出す」だけではうまくいきません。現場の段取り、分別ルール、保管方法、搬出の流れまで含めて仕組み化しないと、手間が増えて逆にコストが上がることもあります。まずは、何をどう分け、どこで再利用できるかを理解することがスタートです。

リサイクル対象になりやすい資材と基本の考え方

土木工事の資材リサイクルは、大きく「現場内で再利用するもの」と「外部に搬出して再資源化するもの」に分かれます。代表例を押さえると全体像がつかみやすいです。
・掘削土:改良して埋戻しや盛土に再利用できる場合がある
・コンクリートがら:破砕して再生砕石として路盤材などに利用される
・アスファルトがら:再生アスファルト混合物の原料になる
・金属類:分別すれば高い確率で再資源化される
・木材・伐採木:チップ化、燃料化などのルートがある
・混合廃棄物:分別不足だとコスト増の原因になりやすい
重要なのは、資材の価値は「分別の質」で大きく変わることです。同じコンクリートがらでも、土砂や木片が混ざると受け入れ条件が厳しくなり、再資源化が難しくなります。逆に、きれいに分けられれば、処分ではなく資源として扱われ、費用面でも有利になります。初心者ほど「最初に分け方を決める」だけで成果が出やすいです。

現場でつまずきやすいポイントと対策

資材リサイクルで失敗しやすいのは、現場が忙しくなるほど分別が後回しになり、結果として混合廃棄物が増えるケースです。混合は処理費が高くなりやすく、搬出先の選択肢も狭まります。対策の基本は「分別を作業に組み込む」ことです。仮置き場を決めておき、表示を統一し、誰が見ても迷わない状態にします。搬出のタイミングも工程表に入れ、溜めすぎない運用にすると管理が楽になります。さらに、雨対策も重要です。濡れると品質が落ちる資材があり、含水が上がると再利用が難しくなる場合があります。シート養生や排水計画で、余計な劣化を防ぎます。
リサイクルを進めるうえで意識したいのは次の3点です。
・分別ルールを短く明文化し、朝礼などで共有する
・仮置きの場所、範囲、容量を先に決める
・運搬の手配と搬出頻度を固定し、滞留を減らす
この3点を整えるだけで、現場の負担を増やさずにリサイクル率を上げやすくなります。

分別ルールを浸透させるコツ

現場でルールが守られない原因の多くは、複雑すぎるか、判断が人によって違うことです。ルールは細かくしすぎず、「これだけは混ぜない」という禁止事項を中心に作ると浸透しやすいです。例えば、コンクリートがらに木片や金属を混ぜない、アスファルトがらに土砂を入れない、金属は種類ごとに分ける、のように要点を絞ります。表示は色分けや大きめの文字にして、遠目でも分かるようにします。新しく入った作業者にも伝わるよう、仮置き場に簡単な図を貼る方法も効果的です。

搬出・受け入れ条件の確認がコストを左右する

再資源化には受け入れ条件があります。サイズ、異物混入の許容、含水、付着土の量などが基準になりやすく、条件を満たさないと追加費用が発生したり、受け入れ自体が難しくなったりします。現場側は「どこまで分ければよいか」を事前に把握し、過剰に手間をかけすぎないのも大切です。運搬距離が長いと費用が増えるため、搬出先の選定は早めに行い、運搬回数を減らす計画にすると全体が安定します。

資材リサイクルを進める手順

土木工事の資材リサイクルは、順番を守るとスムーズです。まず、工事で発生しそうな資材を洗い出し、量の目安を立てます。次に、現場内再利用できるものがあるかを検討し、無理があるものは外部リサイクルへ回します。そのうえで、分別区分と仮置きスペースを確保し、搬出ルートと運搬頻度を決めます。最後に、記録の取り方を統一します。
実務で使いやすい進め方を箇条書きにすると次の流れです。
・発生資材の種類と量を想定する
・現場内で再利用できる資材を優先して検討する
・外部搬出の候補先と受け入れ条件を確認する
・分別区分、仮置き場、表示方法を決める
・搬出頻度と運搬手配を固定して滞留を防ぐ
・搬出数量や伝票、写真などの記録を残す
この手順を最初に決めておくと、現場が忙しくなっても「迷う時間」が減り、結果としてコスト削減につながります。

品質・安全・近隣配慮まで含めた運用のポイント

資材リサイクルは環境面だけでなく、品質や安全にも関係します。仮置き場が乱雑だと、重機の動線が増えて接触リスクが高まり、転倒や飛散の危険も出てきます。粉じんが出やすい資材は散水や養生を行い、周辺への影響を抑えます。騒音や振動が出る破砕作業などが絡む場合は、作業時間の調整や養生で配慮が必要です。また、再生材を使用する場合は、用途に合った品質を確保できるかが重要です。再生砕石でも用途によって求められる粒度や強度が違うため、使用箇所を明確にし、必要な検査や確認を行います。
最後に押さえたいのは、資材リサイクルは「一度仕組みができると継続が楽になる」点です。分別の型、表示、搬出頻度、記録のテンプレートを整えておけば、次の現場でも応用できます。無理なく回る仕組みを作ることが、土木工事の資材リサイクルを成功させる近道です。

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